バリアフリー(A邸バリアフリー化計画)
 今回依頼を受けた施主の家族構成は、両親に子供が3人の5人家族。但し、子供2人が重度な障害をもち、完全に寝たきりという状態です。
家族構成】
リフトの種類】
介助者が、昇降、走行操作を行うリフトは、据置き型とレール固定型の2種類があります。
新築及びリフォームをの際にバリアフリー化をお考えのかたは、お気軽に当事務所までご相談ください。
(株)パトス建築設計室
TEL 058-233-3665
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≪据置き型リフト≫
アーチ型、あるいは櫓を組んで走行用レールを固定し、電動で昇降操作、手動で走行操作するリフト。費用は、アーチ型が50万円前後、櫓型が100万円前後。(共に吊具、組立費別途)
[メリット]
・工事が不要
・寝室、浴室、トイレ、玄関など、どこにでも設置可能
・柱の移動ができるので、部屋の模様替えが可能
[デメリット]
・柱が室内に露出する
・畳など、踏むと沈み込む床での設置ができない
・昇降場所ごとに、アーチか櫓が必要
※工事が不要ですので、既存住宅での使用に向いていると思われます。
現在の生活状況】
  現在は障害をもつ子供さんが小さいということもあり、室内の移動や入浴の際は両親が抱きかかえ、
外部の移動は車椅子を使うといった状態です。
設計条件】
  今回設計するにあたり、施主側からは介助がしやすいように、ベッドから車椅子、浴室への移動は天井走行リフトを使いたいという要望がありました。又、今後室内外を問わず車椅子での移動頻度が増えることも想定に入れ、いかにして段差をなくし、両親への負担を軽減できるかが重要なポイントとなりました。
天井走行リフト
[据置き(アーチ)型リフト]
[レール固定型リフト]
※見た目がきれいですが、天井への取付け工事が必要ですので、新築や
  リフォームでの使用に向いていると思われます。
[デメリット]
・レールを1度設置すると変更が難しい為、部屋の模様替えが困難
・レール通過位置にある建具枠に加工(補強)が必要
[メリット]
・室内にレールが露出しない為、見た目がきれい
走行レールを天井に固定し、電動で昇降操作、電動または手動で走行操作するリフト。
費用は60万円〜100万円程度(吊具、レール、取付け工事費別途)
≪レール固定型リフト≫
今回は新築ということと、操作性を考慮にいれ、レール固定型リフトを採用することになりました。
設置条件】
@昇降位置の特定:レールの真下でしか身体を下ろすことができない為、複数の移動対象物がある
             場合、レールの通過位置をきちんと決めておく必要があります。
[ トイレ ]
[ ベッド ]
[ 浴槽:和風バス ]
[ 浴槽:和洋折衷バス ]
1m程度
30cm程度
45cm程度
便器に腰掛ける位置の垂直上方をレールが通過するように取り付ける。
ベッドに横たわったときの腰の位置の垂直上方をレールが通過するように取り付ける。
浴槽内に腰をおろした位置の垂直上方をレールが通過するように取り付ける。
Aレールの固定方法:レールをボルトで固定する為、専用の梁が必要です。
B建具枠の加工:天井高さが均一でないといけない為、レール通過位置にある建具枠を切断する
            必要があります。
現場写真】
考 察】
  昇降位置を決める際は、障害の程度や介助者の使い勝手、障害者が子供の場合は成長の度合いも考慮に入れて決定することをおすすめします。安易に一般的な寸法で決定すると、障害者の苦痛や、介助者の不便さを生む結果になりかねません。福祉の専門家に相談したり、器具が展示してある場所で実際にためしてみるのもひとつの方法ではないでしょうか。
段差解消
段差の解消方法】
[ M型レール ]
建具
床面
 まず、室内にできる段差としては、ドアの下枠や引戸の敷居が考えられます。
 今回のプランでは、ドアをなくし引戸も床埋込型のM型レールを使うことによっ
て段差を解消しました。その他にも浴室(洗い場)と脱衣室の間にできる段差などもありましたが、当初から入浴には天井走行リフトを使用したいという施主の要望もあり、段差はなくさずリフトで解消する方法をとりました。
 次に屋外からのアプローチ(玄関)部分。住宅の床は、地面からの湿気を防ぐ必要がある為、通常地面から45cm以上高く造られます。今回の敷地の場合、近くに水路が流れていること、道路からの視線が気になるということを考慮にいれた結果、道路面から床まで60cm近くも段差ができてしまいました。
いかにしてこの段差を解消するか、事務所内での検討をすすめました。
@人が介助する
両親が介助すれば解決しないか。
※将来的に両親への負担が大きくなる
A簡易スロープの設置
あまりお金をかけずに簡易スロープだけで解決できないか。
※60cmもの段差を簡易スロープだけで上がるのは無理
B昇降機(リフト)の設置
スペースをあまりとらない昇降機で解決できないか。
※乗降に時間がかかりすぎる
C傾斜路を設ける
スロープを設置することで解決できないか。
※設置スペースの確保が難しい
20cm以上の段差を介助者が車椅子を押して昇降する場合、勾配を1/12〜1/15にする必要があります。又、斜路の上下には水平な踊場部分を1.5m程度確保しなければいけません。
60cmの段差を昇降する為には、12m程度の距離が必要となります。
D段差解消機の設置
スペースをあまりとらない段差解消機の設置で解決できないか。
※若干の費用はかかりますが、スロープ程のスペースがいらず、昇降時間もあまりかかりません。又、子供を車椅子に乗せたまま介助者も一緒に昇降できる為、安全ということもあり採用することになりました。
現場写真】
・油圧シリンダーによって、パンタグラフの要領でテーブルを上下させます。
・設置の為、15cm程度の深さの専用ピットが必要になります。
・費用は70万円程度かかります。(特注サイズ:1.64m×0.9m、材工共)
[ 備 考 ]
 段差解消機を選ぶにあたって、障害の程度、車椅子の形状を考慮したうえで、テーブルのサイズ、スイッチの取付け位置や手摺の高さなど、メーカー指定の既製サイズにとらわれず決定されることをおすすめします。そうすることが、実際使用時の不便さやトラブルを未然に防ぐ1番の策だと思われ
ます。
考 察】